以前にお作りになったきものの寸法が合わなくなった、派手になったからお嬢様に譲るのでお嬢様の寸法に合わせて仕立て直したい時などきものをいったんほどいて、きれいに水洗いをして反物の状態に戻すことを解き洗い張りと言います。洋服は立体裁断のため出来ませんが、きものは平面裁断のため寸法の変更ができるのが特徴の一つです。
洗い張りの注意点は、水洗いするために若干は縮むことをご理解下さい。縫いシロに余裕がない場合は元の寸法に戻らない場合があります。お預かり時に検品させていただき、アドバイスさせていただきます。
解き
仕立上り品の縫い目を解き、裁断した状態に戻すことです。
大小さまざまなサイズのハギレ布に分かれるので、各々点数チェック表を用いて確認を行います。
端縫い
縫い目を解いた仕立て上り品・仮縫い品を特殊ミシンで縫いつなぎ、反物の状態に戻すこと。
大小さまざまなサイズのハギレ布に分かれているので、各々点数チェック表を用いて確認を行い作業します。
通常解きと一連の作業で、解き端縫いとも言います。
洗い張り
仕立上りの着物を解いて全体を水・酵素・洗剤で洗う加工です。古い着物の仕立て直し、染め替えなどが目的です。
仕立ての筋・古いしみ・黄変・地色のヤケ等は洗い張りのみでは落ちません。
洗い張りをすると生地幅が2〜3分(5㎜〜1㎝)縮むものが多く、寸法を大きくできない場合がよくあります。
【洗い張り出来ないきもの】
● 生地が古くて弱っているもの(脆化・劣化しているもの)
● 生地が擦り切れているもの
● 穴あき、刺繍、箔はがれするおそれがあるもの
● 色泣き、柄泣きするもの
● 絞りの生地は伸びてしまう事がある
※加工後仕立て直しをする場合、胴裏は弱っていたり黄変している場合が多く、洗い張りはお勧めしません。
基本的に新しい胴裏に取り替えることをお勧めします。
【洗い張りのみでは直らない汚れなど】
①絵羽筋………仕立て跡・筋が強くついているもの
②絵羽汚れ……仕立て跡・筋が汚れて黒ずんでいるもの
③絵羽ヤケ ……縫込み部分とそうでない所の色が違うもの
【洗い張り時に注意が必要なもの】
1.生地が弱って(脆化・劣化して)いるもの
・洗い張りの際生地全体に負荷がかかるため、弱っているものは切れることがあります。
・古いきものは生地が脆化・劣化していることが多く、特に注意が必要です。
2.生地の損耗・汚れが甚だしいもの
・直せない汚れ、黄変、ヤケ(スジ汚れ)等があるため着用できないきものは、洗い張りをしても元に戻らないので、洗い張りはおすすめ出来ません。
・洗い張りをすると必ず生地に縮みが出るため、直せないヤケ・スジ等が仕立ての際縫い込みに入らないことがあります。そのため希望の寸法に仕立てられないこともよくあります。
解き・洗い張り料金表(税抜)
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洗い張り後に残ったシミなどのお手入れ
洗い張りは、水と洗剤を使って行う手入れです。仕立ての際にヘラで付けたすじやシミもほとんどがきれいになります。しかし、帯下のすれや帯揚げや帯の着色などは洗い張りでもきれいになりません。洗い張り後に残ったシミなどについては、洗い張り後の見積もりとさせていただきます。
なお、留袖や喪服などの紋付きの洗い張りについては、最近は紋が鳴く(紋に色が移る)ことを防ぐために水を使わない洗い張りを行うお店もあります。しかし仕上がりは水を使う従来の洗い張りの方が数段きれいです。当店では、紋付きの場合でも従来通りの水を使う洗い張りを行います。紋が鳴いた場合は、再度紋入れ(別途料金)を行います。