シミ抜き
汚れには大きく分けて2種類あります。油溶性と水溶性の汚れです。
汚れの種類によって使用する薬品や落とし方が違ってきます。
油溶性の汚れにはベンジンを基本とし、水溶性の汚れには水洗いを行います。
もちろん混合のものもあり、順番にしみ抜きを行ないます。
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シミ抜き方法
特にシミが頑固な場合は、差し支えない部分で薬品テストをしてから実際の処置を行います。
生地の種類、状態により加工内容を確認しながら行っています。
汚れが多かったり、水洗いを必要以上に用いると生地が縮むこともあるので、
細心の注意を払って加工を行っています。
スレ直し
スレは絹が湿気をおびた状態で摩擦されることにより起こる損傷です。
生地の表面が毛羽立ち、光の反射で白く見えます。生地目のズレ、つぶれ等になる為、専用剤を用いて生地目を整えます。
ただし重傷のスレの場合色を掛けて直しますが、角度によって見えることもあります。
黄変
しみを付けたまま長期間保管しておくとほとんどのものが黄変(黄色や茶色に変色)します。
黄変とは、油性・水性にかかわらずさまざまなしみが長時間生地に付着して、空気にさらされる事(緩やかな酸化)により発生するもので、通常のしみ抜きで落ちなくなったもののことです。
時間が経つと、軽い焼け焦げのような状態になるので、軽く引っ張るだけで切れたり
穴があくことがあります。
黄変抜き
漂白作用のある薬品を用いて熱を加え、地色と一緒に黄変を抜く高度な技術が必要な加工です。
脱色生地の状態や種類によっては加工の難しいものや、生地を損傷させるため加工が出来ないものもあります。
黄変を抜き周囲の生地色と馴染ませますが、蛍光色や濃地、また様々な特殊加工が施されている商品は色掛けが困難なこともあります。
頑固な黄変は強い薬品等によって生地を損傷する恐れがあるため加工できないこともあり、その場合は他の加工方法を提案します。
黄変を抜いた時、柄が取れたり色がにじんでしまう場合があるので
確認してからの作業となります。
小紋柄や絣は黄変を抜くと、柄がつぶれたり色が泣き出したりして、模様の修復が不可能です。
黄変抜きはできません。
☆江戸小紋などの極細柄は柄付けできないため薄くする程度になります。
☆紬は先染品(たて糸、横糸を別色に染めて織り上げた物)の為、薬品で濃色の糸が滲み出す
ことがあり、加工が困難な場合があります。
色掛け
漂白系の薬品で色を抜いた所に新たに色を差していく作業です。色の原色である赤、青、黄の組み合わせで色掛けをしていきます。
残った色に対して何色を掛けていけば元の色になるのかを判断できる色彩感覚を必要とします。
地色がきれいな色の場合、色掛けをした部分が少し濃い目に見えることがあります。
また、落ちない黄変、黄ばみが残っている場合も同様に濃色に見える場合もあります。
シミ落とし料金
シミ落としの場合、その料金はシミの種類やついた時期、大きさなど様々な要因によって変わってきますので、1つのシミでいくらなどの基準がありません。
使う薬品や時間によって値段は大きく変わってくることをご理解下さい。
ですからシミがたくさんあっても新しくて落とすのが簡単なシミは料金が安くなることもあります。一方、シミは少しだけなのに古かったり黄変していたりするシミであるといろいろな加工を施さなければいけない分高くなる場合があります。
お客様に納得していただくためにシミ落としの場合は入念に見積もりをお出しして相談の上、加工をすすめさせていただきます。
見積もり方法
きものを実際に検品して、見積もりをさせていただきます。
お客様の了解を得てから、実際の加工にかかります。加工内容のついてはお客様とじっくり相談させていただきます
料金表(税抜)
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※これはあくまで目安の料金です。これより安い場合も高い場合もあります。
シミ落としの加工代の見積もりは非常に難しいものです。
正確な見積もりが出せるまでは加工にかかりませんので、ご安心下さい。
シミと黄変の違い
いわゆるシミ落としで落ちるのは、食べ汚しやファンデーションなどの化粧品の汚れや雨シミ、汗などです。
シーズンごとにお手入れにお出しいただくと、比較的簡単にきれいにできるシミ落としでお手入れは済みます。
しかし、お手入れに出さないままタンスに仕舞ってしまって、久しぶりにきものを出すときもの地に黄色い斑点が出ていることがあります。この斑点こそが厄介な黄変なのです。
黄変とシミは別物です。シミは薬剤できれいになりますが、黄変はいわゆる生地の変色ですので薬剤ではきれいになりません。
黄変の場合は、いったん生地を漂白してそれから地色と同じ色に色かけをして修正します。
ですから手間が非常にかかるので料金も高くなるのです。
生地によっては漂白できないので黄変抜きはできません。また紬も黄変抜きはできません。
どちらにしても早めのお手入れが重要です。